刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
体躯の良い蜻蛉切が二人の目の前をあまりにも早く通り過ぎて行ったため、突風が吹き立川の髪の毛がふわりと宙に浮いた。バーコード頭が風になびく様子を新米が凝視していると、立川は何事もなかったかのように歩きながらさっと乱れた髪を整えたのだった。
「ちょっといいか」
「おっと、誰かと思えば噂の政府さんじゃないか。この鶴丸国永に何か聞きたいことでもあるのかい?」
「その通りだ。簡潔に答えてくれ」
「いけないなあ…それが人にものを頼む態度か?」
「お前達は早く質問に答えてくれりゃそれでいいんだ。そうすると調査も捗るし早く終わる。お前達もその方が都合が良いだろう?違うかね?」
態度を改めようとしない立川に、鶴丸はやれやれと肩を竦めた。そしてここじゃなんだから、と言って二人を庭へと連れ出す。
黙って付いて行っていた二人だが、やがて立川が怪訝な表情をしながら鶴丸に問いかけた。
「お前、何処までいくつもりだ」
「まあまあ、あと少しだからそうカッカしなさんなって」
「……」
庭の奥へと足を進ませること数分、ある場所で突然鶴丸が立ち止まった。釣られて政府職員も立ち止まると、鶴丸がこっちこっちと手招きする。