刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
手のひらを王庭の目の前に差し出すと、湿った鼻面を手のひらに押し付けてくる。手のひらにかかる鼻息がくすぐったくて、押し付けてくるそのしぐさも可愛くて堪らない。
普段男士達皆が愛情を込めて世話をしてくれているお陰で、ここにいる全頭が毛艶が良く、それでいて濡れたように黒く輝く澄んだ瞳は慈愛に満ちている。
その澄んだ瞳を見ていると、心が浄化されていくようで落ち着く。
…だから悲しいことがあって気分が落ち込んだり、何かあるとついここに来てしまう。
「主は本当に馬が好きなんだな」
「うん…馬を見ているとね、癒されて心がすっと落ち着くんだ」
「人妻の方がよっぽどいいと思うけどなー。いい匂いだし優しくしてくれるし!」
「僕は小さい子が好きですね」
真面目な顔をして答える二人に苦笑する。
望月のブラッシングをしながら、聞き取り調査のことを二人にそれとなく聞くと、やはり二人揃って表情を曇らせてしまう様子に胸が痛んだ。
毛利君は身体検査はされなかったけど、包丁君はされたらしい。だけどその後に新米くんから飴を貰ったと喜んでいた。
厩舎でのお手伝いを一通り終え、畑を横切っていると一つだけスプリンクラーが稼働していないことに気が付いた。