刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
「包丁くん、偉いね!頑張ってる!」
「あ、その声は主?うわっ…!」
私の声に反応し、藁の横から顔を覗かせたせいでバランスを崩し慌てる包丁くん。コントのようにおっとっと、とぐらぐら揺れる高く積み上がった藁に二人でわーわー言いながらなんとか藁が崩れるのを防いだ後、その量の半分ほどを持った。
「危なかった~!主が急に話し掛けるからだぞっ」
「ごめんごめん、後でお菓子あげるから許して。包丁くんの好きな甘いチョコレートあるよ!」
「え!ちょこれーと?よーし!そういうことなら頑張っちゃうもんね」
途端に機嫌が良くなる包丁くんと共に厩舎に入ると、ピッチフォークでせっせと藁を引き詰め整えている毛利くんの姿。
そして馬たちが私の存在に気付いた途端、前足を蹴りながら私の方を向き、ブヒヒンと鼻を鳴らして首を上下に揺らして出迎えてくれる。
いつも私が人参やりんご、バナナを持ってくるのを分かっているようで、それを催促している様子がとても可愛い。
「毛利くん、お疲れ様」
「主さま!」
「ん、ごめんね…今日は人参は持ってきてないの…」
ぐいぐいと私の服の袖を咥えて引っ張る馬、王庭の首を叩きながら「また後で持ってくるね」と言うと、理解したのかブルルと鼻を鳴らし袖を離した。