刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
振り返ると新米くんが、報告書にペンを走らせているのが見えた。政府の監査が始まって二日が経過したが、ずっとこんな調子だ。私達の様子を事細かに報告書に記入しているらしくどこにいても視線を感じる。
今日は大倶利伽羅さんの出陣がなかったことに胸を撫で下ろした。もし出陣していたら見送り時にうっかりキスをしていたかも知れないし、そんな所を見られたらまた揶揄られるに決まっているのだから。
皆の頬にキスするのもなくなってて良かったなぁ…と近侍の厚くんと思わず目を見合わせて苦笑した。
あんな別れ方をしてしまったから大倶利伽羅さんの様子が気になるものの、避けられているのか全然会うことが出来ない。
彼なりにあまり一緒にいない方がいいと考えているのだろうか。それもそうなのだけど、会えないとなると寂しさが募る…
元々他の刀と一緒にいることが少ない大倶利伽羅さんを捕まえるのは困難で、今までは彼が私に歩み寄ってくれていたんだと痛感した。
大倶利伽羅さんと話すことも出来ないまま時は過ぎ、一日の全ての業務を終えた。彼と癒しの時間を過ごすのは監査が終わってから…それまでは頑張らないと、と思いながら疲れた身体をどさっとベッドに預ける。