刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
振り返ると、顔を顰めた年配(バーコード)が襖から覗き見していた。そしてそのまま無遠慮にズカズカと執務室に入ってくる。
「いちゃつく時間があるなら他にやることがあるんじゃないのかね?他の男士の聞き取り調査をしたい。至急広間に男士を集めてくれ」
「っ、……はい」
大倶利伽羅さんが男を睨み付けているけど、男はこれといって気にする様子もなく、それだけ言ってピシャリとこれみよがしに強く襖を閉め、執務室を後にした。
「ふん…バーコードか……確かに。うまいことを言ったもんだな」
大倶利伽羅さんがボソリと呟いた声がおかしくて、また頬が勝手に緩む。そしてそれにより心が幾分軽くなった。
大丈夫。
大倶利伽羅さんも皆いる。
頑張って一週間乗り切ろう。
聞き取り調査は一度広間で一斉に行った後、再度一人一人個別に調査していくらしい。その時審神者は同伴してはいけないと言われた。
何でも審神者が同伴すると言いたいことが言えない事例があるとのことだ。何を聞くつもりなのか大体は想像がつく。無理やり出陣させられていないか、手入れはちゃんとされているか、食事はちゃんと摂っているか、無理やり夜伽をやらされていないか…
何だかやるせないけど仕方がないと自分に言い聞かせた。