刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
あのまま私が殴りかかっていたら、大倶利伽羅さんが言っていたように、襖の向こうで聞き耳を立てていた男士達が抜刀する騒ぎになっていたかもしれない。
私がそうなる事を望んでいないって分かっているからこそ、大倶利伽羅さんは大事にならないように、わざと大きな音を立てて私を正気に戻してくれたんだ。
本当ダメダメだなぁ、と凹んでいるとポツリと大倶利伽羅さんの声が、予想外な言葉が聞こえてきた。
「あんたが望むなら俺がいくらでも毟り取ってやる」
「え、…毟りと……え?」
「ああ、毟り取る」
「ぷ……あはは」
毟り取るって真剣な表情で言う大倶利伽羅さんに思わず笑いが零れ出る。
まさかそんなことを言ってくれるなんて思いも寄らなくて…本当に大倶利伽羅さんはどこまでも私に甘い。
暫く笑っていたら大倶利伽羅さんの手が後頭部にそっと添えられた後、慈しむように額に唇が触れた。
額に感じる温もりが、大倶利伽羅さんの優しさがじんわりとそこから広がっていくようで、目を瞑り浸っていると…
「はっ!昼間っからお盛んだな!恥ずかしくないのか」
不快な男の声が耳に突き刺さった。穏やかさを取り戻していた心臓が途端にハクハクと早まる。