刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
「あんたは良くやっている。あんな男の言う事は気にするな。あんたのことは俺達が一番良くわかっているし認めている」
大倶利伽羅さんの言葉が心に染みると共に、彼の穏やかに動いている心臓の音が心に安らぎをもたらしていく。
とくんとくんと、愛おしい人の優しい音と背中を撫でる掌が、お腹の中に渦巻いている怒りを鎮めていく。
そうだ…
他の本丸がどうであろうと、ここは私の本丸だ。
政府が提示するノルマだってギリギリの時もあるが大体は余裕でこなしているし、文句を言われる筋合いはないはず。
それに、あの男がなんて言おうと、どれだけ調べられても何もやましいことはしていない。胸を張っていればいいのだ。
「ありがとう伽羅ちゃん……大分落ち着いた」
「そうか」
「さっき…伽羅ちゃん、わざとテーブル蹴り上げたでしょ?」
「……さあな」
「ふふ、ありがとね…あれがなかったら…怒りに任せて取り返しのつかないことしてた、と思う」
あの時の状況を振り返りながらキュッと唇を噛みしめる。すると、少し首を傾げながら大倶利伽羅さんが私を見つめ、問いかけた。
「一応聞くが、あんたの取り返しのつかないこととは…なんだ?」
「や、……言えないよ、そんな…」
「いいから聞かせろ」