刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
危なかった…
大倶利伽羅さんの蹴りがなかったら、きっと私は我を失って男に掴みかかり、取り返しのつかないことをしていたに違いない。
ハッとしたと同時に、視界に入ったテーブルの上にあるコーヒーカップが音を立てて倒れ中身が流れ出る。隣に座っていた若い男が狼狽した様子でカップを元に戻し、側にあったティッシュケースから素早く何枚か取り出し慌てて零れたコーヒーを拭いた。
「黙って聞いていれば……言葉に気を付けろ」
「っ大倶利伽羅さん…っ!」
審神者ならまだしも、刀剣男士が政府の役人に手を出したらとんでもないことになる。
立ち上がり、ものすごい形相で男を睨みつけ吐き捨てる大倶利伽羅さんを抑えると、男は怯んだ顔を慌てて元に戻し平静を装いながら捨て台詞を吐いた。
「全く先が思いやられるな!」
先が思いやられるのはこっちだ……
…
…
それから一通りの尋問を終えて、客室を後にした。一度は我を失いかけたけど、大倶利伽羅さんの蹴りがあったお陰で正気に戻ることが出来た。
大倶利伽羅さんと国広くんは私抜きの聞き取り調査があるとの事で、とりあえず私だけ解放された。