刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第46章 政府の監査
「それは君の霊力が象っているだけだろう。それがなければ只の鉄の塊だ。それに手足がなくなる程の重傷を負ったとしても、本体が折れなければ手当てで元通りってなもんだ。それのどこが我々と同じなのかね?えっ?人間ならありえんだろう。そんなこともわからんのか!」
道具だとか鉄の塊だとか…
刀剣男士に対する数々の心ない発言に怒りと悲しみが沸々とこみ上げてくる。
刀剣達は私達の歴史を守るために日々その身を犠牲にして戦ってくれているというのに。
…だけど、私が歯向かったところでこういう類いの男の考えを変えることなんて到底無理だろう。それどころか憤慨してこの本丸が理不尽な目に合うことになりかねない。
そうなれば私だけではなく刀剣達にも辛い思いをさせることになる。それだけは絶対に嫌だった。
──言うなれば耐えるしかないのだ。
目の前でそんな酷いことを言われた国広くんは、堪えているのか表情には出ていなかった。
修行から戻ってきた彼は、あれだけ執着していた布を取っ払ってきただけあり、自信に満ち溢れている。国広くんが我慢しているのに、主である私がここで感情的になってはいけない。
そう自分に言い聞かせ、怒りと悔しい気持ちをぐっと抑えるように奥歯を噛みしめた。