刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第45章 大倶利伽羅の憂鬱
縫い目を見つめて苦笑しているこいつの手を握る。冷たくて小さい手が愛しくて、握っている手の指を絡ませ上着のポケットに突っ込んだ。
「伽羅ちゃんの手あったかい…」
「あんたの手は相変わらず冷たい」
「そうかな…」
「風邪を引くだろう…俺のことは気に止めなくていいから先に寝てろ」
「ごめん…邪魔しちゃって」
「そうじゃない」
申し訳なさそうにしているこいつの額を掌で軽く叩く。あんたを責めている訳じゃない。
部屋に着いていつものようにこいつを抱き寄せて眠りにつこうとしていると、眠れないのか少しモゾモゾしている。
「どうした」
「ぁ、ごめん…眠れなくて」
「山姥切が修行に行くのが、そんなに寂しいか」
「え…?」
俺の言葉に驚いたのか、こいつは目を丸くしている。その表情を見て、こんなことを言うつもりじゃなかったんだが…と少し後悔した。
答えなくていい…寂しいのは当たり前だ。
そう言い直そうと口を開きかけたとき、こいつは俺の背中に手を回し胸に顔を擦り寄せた。
「本音を言うと寂しい。だって審神者になった時から一緒だったし……でも、伽羅ちゃんがいない方がもっともっと寂しいの…」