刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第2章 出会い
「来週からお願いしますね!山姥切国広くんに引き継ぎしてもらって下さい、ではっ!」
大倶利伽羅さんは眉間にしわを寄せていた。
何あの人!刀だけどっ!でもやらなくていいとは言えないので、お願いするだけして逃げるようにその場を後にした。
私、頑張ったよ、ね…
──そして、約束の時間きっかりに大倶利伽羅さんは執務室に現れた。来てくれた!ちゃんと伝わってた事に安堵する。
「おい、入るぞ」
「ど、どうぞっ」
スッと執務室の襖が開いて彼が静かに入ってくる。
どうしよう、なにを話せば?とか色々と不安があったものの、国広くんがきちんと引き継ぎをしてくれていてとてもスムーズだった。そう、驚くほどに。
執務中は必要な事以外に話すことはなかったけど、不思議と居心地は悪くなく仕事が物凄く捗った。
長谷部が近侍だと私の仕事まで奪うので、申し訳なさで一杯になってしまったり、早く終わらせようと変に気張ってしまったり、とまあそんな感じで。
でも大倶利伽羅さんは自分の仕事をそつなくこなしてくれるので、意外にも凄くやりやすかった。
出会いは最悪だったけど…
彼の仕事に対する姿勢をみて、もう少し彼の事を知りたくなって、少しずつ距離を縮めていけたらなぁと思った。