刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第45章 大倶利伽羅の憂鬱
「伽羅坊?戻ったんじゃなかったのか…?」
「…」
「……なるほど…なんとなく想像出来るな…なら俺とまた飲もうじゃないか」
「遠慮しておく……」
「まさか鍛錬でもするつもりか?酒が入ってるんだ。悪いことは言わん、やめておいた方がいいと思うぞ」
はあ…こいつには全てお見通しみたいだな。
何か言ったところで意味はない…か。
「少し冷えてきた。部屋でじっくり酌み交わそうぜ」
鍛錬は諦め、国永に肩を強引に抱かれ部屋へ向かっている途中で、後ろから俺たちを呼ぶ声がした。振り返ると、何故か光忠と貞までもが手に酒とおつまみやらを持ってこっちに来る。
「僕たちも失礼していいかな?」
「…」
「光坊、酒の肴なんて気が利くじゃないか!」
「伽羅?どうしたんだ?いつもより眉間のしわが凄いぜ?」
「うるさい」
「伽羅坊は主に放って置かれて寂しいみたいだぜ」
「黙れ」
「ムキになるところがまだ幼いな、伽羅坊は」
国永の言葉にぐ、とのどを鳴らすと、国永の俺の肩を抱いている手に力が加わり、強引に頭をわしゃわしゃと撫でられた。
「くそ…ッやめろ!」
「可愛いなあ、伽羅坊は。これだから放っておけないんだ。居場所がなくなったらいつでも実家に帰ってきていいんだぞ?ん?」