刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第45章 大倶利伽羅の憂鬱
「ふん……どうもしない」
「そんな険しい顔をしながら深い溜息を吐いておいて何もないはおかしいだろ?ちょうど俺も酒を飲むとこだったし…どれ、鶴さんが聞いてあげようじゃないか」
そう言いながら、国永も俺の隣に座り酒を飲み始める。国永に肘で小突かれながら指摘され、己の顔が不機嫌な心に比例するように眉間にしわが寄り、目は鋭く細くなっているのを自覚する。
「ちっ…、構うな」
「連れないなぁ…主のことなら俺でも相談に乗れると思うんだがなあ…違うか?」
「…断る」
はっきりと拒否したにも関わらず国永はわざとらしい笑みを浮かべながら、俺の猪口に酒を注ぐ。
月に照らされゆらゆら揺れる猪口の中の酒を眺めていると、水面にあいつの姿がぼんやりと浮かんでくる。
「国広くん…」山姥切の修行道具を準備しながら、寂しそうに呟くあいつ…その姿を頭から消し去るように、国永から注がれた酒を一気に飲み干した。
「お!いい飲みっぷりだ!俺も負けていられないなっ」
「…」
しばらく特に何を話す訳でもなく国永と肩を並べて酒を飲んでいたが、思いの外夜が更けていることに気付き俺は無言で立ち上がった。