刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第44章 続・魅惑のランジェリー
静かな執務室でひたすら筆を走らせていると、目の前の襖が静かに開いた。
「まだやっていたのか…」
お風呂に入ってきたらしい大倶利伽羅さんが怪訝な顔をしながら執務室に入って来る。
「うん…終わらなくて…」
「頑張りすぎじゃないのか」
「今回ばかりは頑張らないと…伽羅ちゃんは私に構わず先寝ててね?」
心配掛けまいとして平静を装うと、大倶利伽羅さんは何か言おうと一瞬口を開いたけど直ぐにためらうかのように口を閉じた。そして私の頭をくしゃりと撫でてから、「おやすみ」と奥の私室へと消えていった。
良かった…
きっと大倶利伽羅さんは何か言ったところで状況が変わるわけじゃないから、私の気持ちを汲んでくれたんだ…
極めてからの大倶利伽羅さんは以前と比べて周囲に対して大胆になり、夜、頻繁に私の部屋を訪れてくれるようになった。それはとても嬉しいのだけど、その度に隣の近侍部屋で待機していた刀剣が何とも言えない表情で部屋を去っていくのが実は気まずくて。
そんな私の気持ちを察して大倶利伽羅さんが皆に伝えたのか、誰かが言ってくれたのかは分からないけど、いつの間にか近侍はその日の仕事が終わると各自の部屋に戻り、夜は待機しない流れになっていた。