刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第43章 ある日の出来事 5
「…加州くん、み、見てた…の?」
「見てたも何も、毎回イチャついてるの皆知ってるんだからね!」
「え゙…う、嘘でしょ…」
いつの間にか周りに集まってきた第一部隊の皆が私を取り囲み、ここぞとばかりに「僕たちにもしてほしいです」「俺にも俺にも!」と口々に言う。
そしてそれを隣で黙って聞いていた大倶利伽羅さんが不機嫌そうにチッと舌打ちしているけど、私は恥ずかしくてそれどころではない。
「ええぇ…」
「口に、とは流石に言わないよ。頬で我慢するし出陣時だけでいいからさっ!それならいいでしょ?ね?いいよね?」
「え…っと…でも…」
聞かれた問いになんて答えればよいか分からず隣を仰ぎ見た私に、大倶利伽羅さんは不服そうな表情を向けてくる。
そりゃそうだよね…恋人が他の刀剣に口付けるなんて、例え頬といえどもいい気はしないに決まっている。
困っていると加州くんは痺れを切らしたように口を開く。
「いいじゃんそれくらいっ!いっつも大倶利伽羅だけずるいんだからね!」
「こいつからのちゅうは俺一人で十分だ」
「十分じゃないっ!」
「チッ…」
大倶利伽羅さんの言葉に加州くんがぼやき、それを聞いていた厚くんまでもが「ずるい」と不満を大倶利伽羅さんにぶつけ始める。