【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】To my darling
第2章 Happy moment in holy night.
・*・
「チッ、ついてねぇ」
リヴァイは駅の改札の電光掲示板とアナウンスを聞いて、思わず舌打ちした。
今日はリヴァイの誕生日なのに、朝から面倒なことばかり起きていた。
先ほども大きな問題の対応に追われ、残業していたのだ。ようやく帰れると思ったら今度は電車が動かない。冬眠できなかった熊かなんかが路線におりてきてしまったらしい。
恐らく今日は待っても乗れないだろう。
仕方ないが数駅分歩かなければいけない。
別に誕生日だからといって何があるわけではないが、何もその日に限って厄日にしなくても、とは思う。
元々この日は特にアイツに会いたくて堪らなくなるのに──
──人類が巨人と戦っていたあの時代。
リヴァイにはその記憶があった。
なんの縁か当時の仲間であったエルヴィンやハンジ、ミケ達と会社で再会し、今年の新入社員の中にはペトラとオルオもいた。
ペトラたちとはまだ話せていないが、エルヴィンたちが記憶持ちであることはわかっている。
初対面なはずなのに、お互い驚いた顔をすればわかるってものだろう。
今と昔では立場や年齢も少し違っていたが、そんなことは些細なことだ。
今も前と同じ腐れ縁のような、しかし互いに信頼している関係を続けている。
──そんな仲間が周りにいたから。
あの時代に唯一リヴァイが愛して、今も尚愛しているリアもいるはずだと思っていたのに。
自分で探して10年、エルヴィン達と探し始めて5年。未だにアイツの姿を見たこともないし、名前も聞かない。
あの頃の全員が転生しているわけではなかったから、リアも転生していないのかもしれない。
しかし、そう簡単に割り切れないのも事実で。
記憶なんかなくてもいい、最悪リヴァイを好きにならなくてもいい。
せめて、せめて姿だけでも見たい。
そう願うことは、どうしても諦めきれなかった。