【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】To my darling
第2章 Happy moment in holy night.
今日はこれで終わり。
道具の片付けをしてから、まだ店内にいるスタッフさん達に挨拶をする。
「お疲れ様です。お先に失礼します」
「お疲れー!リアちゃん、明日もよろしくね」
「帰り気を付けてね」
すぐに帰ってくる返事の温かさに、良い職場だと改めて思う。
元々温かい人たちだけれど、他にバイトがいないので、一番年下であるリアを特に可愛がってくれているのだった。
ほっこりしながら用意を済ませ、従業員用の裏口から外へ出る。
つい先ほどまで暖かい建物の中にいたため、寒い外との温度差に身を竦ませた。
もうそんなに早い時間ではなかったが、クリスマスに浮かれているのか、街の通りは人でいっぱいだ。
恋人や友人と盛り上がっているのかもしれないし、単純にイルミネーションを楽しんでいるのかもしれない。
残念ながらリアは今年もクリスマスを共にする人はいない。
高校までは実家で家族と過ごしていたが、上京してからはずっと一人だ。
だが、逆にリアはそれでよかった。
というより敢えてそうしている節がある。
幼い頃から聖なる夜に行っている習慣のようなものは、一人の方が好ましいことだとリアは思っているから。
街中を抜け、住宅街に入る。流石にここは人がいなくて、町の喧騒も聞こえない。
ふと立ち止まって空を見上げれば、雲一つない空に綺麗な星が見えた。
「今年はホワイトクリスマスにならないかな」
ぽつりとリアは一人呟き、再び歩き出した。