【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】To my darling
第2章 Happy moment in holy night.
リアが落ち着く頃合いを見て、お互いのことを話し始めた。
リヴァイを立ったままに出来ず、リアは自分が座っていた椅子をすすめる。
が、リヴァイはそれでリアが立つことになるのが嫌なようで渋り、少し狭くなるが結局二人で座ることになった。
「…リアよ、お前は覚えているのか」
「思い出したのはたった今ですけど、ちゃんと覚えていますよ、兵長」
「そうか。
…それより、もう俺は兵長じゃねえよ」
「あ!…そうでしたね」
かつての呼び名が懐かしくて、ついそのまま呼んでいたが、今リア達が生きる世界に"兵長"なんていない。
少し期待の籠った視線でリヴァイに見られ、二人は無言の攻防をした末にリアが折れた。
「…リヴァイさん」
小さい声で彼の名を呼ぶ。
リヴァイのことをちゃんと名前で呼ぶのは、前世を合わせてもこれが初めてだ。
今まで照れくさくて役職で呼んでしまっていたけれど、その呼ぶべき役職がない今、これ以外では呼べないのだった。
「呼び捨てで構わないんだが…それは追々、な」
満足そうなリヴァイを見て、勇気を出した甲斐があったなんて思う。
…呼び捨ては滅茶苦茶ハードル高いけれど。
そんなこんなで離れていた間のことを簡単に紹介し合った。
リヴァイからはかつての仲間の事、長い間リアを探し続けてくれた事などを教えてもらい、リアはこの曲についてだけ覚えていたこと、大学やバイトについてを話した。
話したいことは尽きないけれど、なんとなく区切りの良いところで終わらせる。
…ふと二人の間に落ちる沈黙。
それが昔から不思議と心地良かった。