【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】To my darling
第2章 Happy moment in holy night.
・*・
その人と目が合った瞬間、リアに衝撃が走った。
さっきまで弾いていた曲の比ではない、懐かしさと愛おしさが際限なく溢れてくる。
この男性なんて会ったこともない、知らない人のはずなのに、心が求めて止まない。
そう、曲と同じように理屈では表せないものだった。
見つめ合った目を逸らせないまま、頭へ一気に記憶が流れ込んできて整理が追い付かない。
この男性はスーツを着てロングコートを羽織っている格好のはずなのに、何かのコスプレのような兵服を着ている姿と重なった。
巨人。兵士。仲間。そして愛しい人…
これは前世の記憶なのだと、リアは唐突に理解した。
今目の前にいる人のことも、なぜ12月25日だけこの曲を弾いていたのかも。
今まで理屈では表せなかったものが、すべてこの"記憶"によって解明されていく。
今まで思い出せなかった理由はわからないが、恐らくこの男性が鍵となっていたのだろう。
全てを理解し、目の前の男…リヴァイへの想いが溢れそうになり、それは涙となって外へ出た。
「リヴァイ、兵長…」
「…っおい⁉」
思わず零れた愛しい人の名前。
リアが泣き出したことでリヴァイが少し狼狽えて、そしてリアは久しぶりに…、本当に久しぶりに聞いた愛しい人の声に、さらに涙が溢れてくる。
潔癖症なはずなのに悪いと思いつつも、リヴァイが差し出してくれたハンカチで涙を拭わせてもらった。