【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】To my darling
第2章 Happy moment in holy night.
ついにリヴァイは音の出所に辿り着いた。
途中からどんどん建物の数が減っていった為に本当に合っているのか不安になったが、こじんまりとした教会の前に着いてほっと息を吐く。
正面の扉を動かせばすんなり開いた。微かに軋んだ音がしたが、それはピアノの音に紛れてほとんど聞こえなかった。
そっと中に入ると、探すまでもなくピアノが目に入る。それを弾いているのはやはり愛しいリアで。
一瞬、かつての誕生日にこうしてリアが弾いてくれているのを、リヴァイが横で見ていた記憶と重なった。
懐かしい光景を、こうして再び見ることができて込み上げてくるものがある。
リアの近くにリヴァイが着いたその時、まるで図ったかのように丁度曲が終わった。
そして、リアはピアノの鍵盤から手を下ろすと顔を上げた。
「―…っ」
――目が合った瞬間。時が止まった気がした。
リヴァイの記憶と一寸違わない姿が、そこにはあった。
艶々と輝く栗色の長い髪。長い睫毛に縁どられ、ぱっちりとしたヘーゼルの瞳。透き通るような白く滑らかな肌。
リアの元々大きい目がさらに驚きで見開かれている。
それはここに人がいたことへの驚きか、それとも『リヴァイ』がいることへの驚きか。
後者だったらいいなんて思いつつ、お互いに一歩も動けないまま見つめ合っていた。