第4章 甘い甘い金平糖
「なるほど、元々は蟻であると言うわけか」
にやりと笑いながら光秀が目の前にいる家康と三成を見る。二人は同時に頷き、光秀を見つめる。その間もずっと互いの手は繋がれたままだった。
先程光秀は、家康と三成が口付けをしようとしている場面に出くわした。はじめはまた喧嘩でもしているのかと思ったが、見ていると互いの体に触れ合い口付けまではじめようとしだした。
可笑しいと思い声をかけたが、二人は一度は振り向き光秀の顔を確認したものの、すぐにまた互いに見つめ合うと今度は迷わず口付けをした。光秀の目の前で家康と三成は口付けし、互いの体を確かめるようにまさぐり合う。よほど気持ちが良いのか、光秀の存在など関係無いように行為は激しくなり、二人の頬は紅潮し息づかいも荒くなる。
「ほう、これは媚薬か?妖術にでもかかったか?」
光秀は珍しい余興でも観るように、二人の行為を見つめていた。暫くし、二人が体の熱を持て余したように唇を離し、互いの手が下へと伸びて行こうした瞬間、二人を引き離す。
「お前達、本当に後戻りできなくなるぞ」
「なっ、・・・なんだよ」
「・・はぁ、はぁ、・・・誰だお前?」
「俺がわからぬか。ならばお前らは何者だ」
「「俺らは蟻だ」」
「・・・ほう。ずいぶん面白いことを言うな。ならば詳しく聞かせてもらおう。蟻であると言うことを」
その後光秀は、蟻であると名のる家康と三成の姿をする者達の話を聞くこととなった。