第4章 甘い甘い金平糖
余談。
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春日山城の一室で、謙信は隣に座る愛しい女を不思議そうに見つめていた。
「呪文とはなんだ」
互いに一粒の金平糖を食べ、おとぎ話のような意味深な発言をしたのち「それは……」と可愛らしい声で言った次の瞬間、ぽんっ、と音がして部屋が煙に包まれる。
「お前」
「謙信様」
謙信の目には花が咲いたように笑う自分が、女の目には豆鉄砲食らったような自分が映っていた。
「楽しみにしてたんです」偽謙信は軽々と偽女を組み敷き相変わらず楽しそうに笑う。
「……お前の気分を楽しめる、ということか」組み敷かれた偽女はニヤッと笑い
「私は、謙信様の気分が味わえるんですよ、ゾクゾクしちゃうでしょ?」偽謙信は終始ご満悦だ
「あぁ、武者震いを起こすほどだ……」
馬乗りになっている偽謙信の頬をひと撫で。
「いざ、」
「出陣っ。うふっ」
余談、おしまいける。