第4章 甘い甘い金平糖
家康と三成(の格好をした)が、光秀の問いかけに可愛らしく首を傾げた、一方その頃。
城内では大捕物が繰り広げられていた。
「待て!お前、一度止まれっ!!」
「やーだよっ!政宗の身体すごぉーい!
筋肉が半端ない!すっごい走れる!
すっごい跳べるーっ!!」
大階段の手摺に腰をかけ、滑り台の要領で政宗の姿をした偽者が下りる…その後ろを本物の政宗が、必死に食らいつき追う。
「よっ、と、着地も満点っ!」
「おいおい、俺の姿で可愛らしい内股になるなよっ、と!」
すたん、と見事な着地を決めたと思ったその先。
踊り場から政宗が手摺を乗り越え跳躍し、行く手を阻む様に立ちはだかった。
「わぁ、流石は政宗」
政宗の姿をした誰か、は本物さながらにニヤリ、と笑うと。
まだまだ逃げ仰せようと、くるりと踵を返す…しかしその曲がり角の先、歩いてきた誰か、に勢いよくぶつかり尻餅をついた。
「おい!ったく…俺の姿で、無様な真似をしてくれるなよ」
「だ、だって突然出てくるからっ…あ、」
「…これは、面妖な」
そして痛みに呻きながら、薄目を開け見上げた先。
楽しそうに笑む、緋色の目と目が合う――
「おう、信長様」
「の、信長様…っ」
「政宗が、二人。
どちらかが物の怪か?面白い」
すらり、と抜かれた刀身に。
尻餅をついたままの誰か、は思わず青ざめる――