第4章 甘い甘い金平糖
「あーん」
何かの粒をつまんで、それを放り込もうと口を開けてみせる愛らしい表情に、謙信は釣られて口を開く。
口の中に優しく落とされた粒は、固くて、いがいがいしていて、そして甘い。
「これはなんという甘味だ」
「金平糖ですよ」
「佐助が安土から持ち帰った、あれか」
「はい、安土の友達が謙信様にも食べさせてあげてって、佐助くんに作り方を伝えてくれました」
「お前の友は、魔王の側にいるのだったな」
「魔王の好物だそうですよ。あの風体で甘いものが好きなのですねぇ」
意外ですね、とクスッと笑う。
「でも、この飴には秘密があって……」
誰もいないのに耳に唇を寄せて囁く。
「秘密?」
「一粒食べて呪文を唱えると、変身できるとかできないとか」
そうしてまた、クスッと笑った。