第1章 死と異世界と、質問と銀髪と
「…待ちなさいって」
彼から逃げようとする私。
すぐ後ろにカカシが迫っている気配。
私は出来るだけ急いでドアを開けた。
スライド式のドアが開ききる前に、私は自分の体を隙間に滑り込ませる。しかし、
ドン。
と何かにぶつかる衝撃があった。
どうやらこの病室に入ろうとしていた誰かとぶつかってしまった模様。
見事にすっ転ぶ私とは対照的に、目の前の彼は全く体制を崩してはいなかった。
「あ、サスケいいところに。
ちょっとその人捕まえて」逃げちゃう
カカシの言葉に 何の返事も返す事をしないまま、サスケと呼ばれた青年は、私の腕を掴み。
そして、いとも簡単に体制を立て直してくれた。
再び二本足で地面を踏む事が出来た私だったが、腕はまだサスケに掴まれたままの状態だった。
『いや、…嫌だ!触らないで!触らないで
離して!!///』
「「!!」」
異世界に来たと分かっても、取り乱す事をしなかった私が。
青年に腕を取られたくらいで声を荒げているのだ。
二人は完全に面食らっていた。
しかし私には、そんな事に気を配れる余裕など微塵もない。
“これ”は、私にも制御出来ない。
「おいサスケ!一度彼女を離して」様子が変だ
「暴れるな」
とん、と首の後ろに軽い衝撃が走る。
その軽さとは裏腹に、私の意識は深く重く…
底の見えない水の中へと沈んで行くようだった。
「……いやー、あっはっは。まぁあれだな!なんと言うか…
やりすぎたな」もろ延髄
「逃げようと暴れるこいつが悪い。
やはり俺の思った通り、間者だったのか?」
「…んー、まだ間者だった方が、分かりやすくて良かったのかもね。
でも多分、さっきのは逃げようとして暴れた。
ってわけじゃなさそうだ」