第38章 ファン1000名様突破記念 読み切り
翌朝、俺はサスケに叩き起こされた。
酷い二日酔い…。とまではいかなかったが、少し頭が痛くて体が重い程度には酒が残っている。しかし、彼は二度寝を許してはくれなかった。
「ふざけるな。昨日言っただろ、俺の修行に付き合うってな」
「んー…言ったけど…、あれは、約束を断るための口実であってだな」
そこまで言ったところで、ついには布団を剥ぎ取られてしまった。こうまでされてしまってはもう抵抗も無駄だと悟り、俺はしぶしぶ出掛ける準備を始めるのだった。
でも…
今となっては、こうして無理矢理にでも俺を修行の場へと引きずって行ったサスケに感謝している。
なぜなら、俺はその場所で…
彼女に出会うのだから。
昨日までは、自分がまともに恋愛出来る人間かどうか疑っていたにも関わらず。
なんて事はない。出会ってしまえば、すぐに分かった。
“ あ、これか ” と。
運命の出会いや、特別な人なんて自分には訪れる日なんてやって来ないのでは?などと考えていたのが嘘のよう。
明らかに色々と普通ではない点を抱えていた彼女。最初はそのせいもあって、特別視しているだけかと思ったが。二、三日もすれば簡単に自覚した。
自分がもうとっくに恋に落ちていた事。
俺にとって初めての経験だ。弾む心に、痛む胸。口が勝手に彼女の名を呼び、気が付けば相手に腕を伸ばそうとしている…なんて。
どうしても彼女の心が欲しくなり、俺の心を預かって欲しいと願う。まさか恋心とやらが、こんなにも身勝手なものだなんて知らなかった。
自分がこんな気持ちになれる事を俺が知るのは…まだほんの少しだけ、先の話。
とにもかくにも、君の名前を聞くところから始めようか。
「俺の名前は はたけカカシ。
君の名前も、教えてもらえる?」