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モノクローム【NARUTO】

第1章 死と異世界と、質問と銀髪と



「ごめん、あと一つだけ聞かせて」

さっきの質問が最後だと言ったはずでは?
とは思ったが。口には出さなかった。

「…そちらの世界での最後の記憶は?
こちらの世界へ来る前、君は…何をしてた?」

『…………』

一度でも、彼の事を優しいだとか考えてしまったが。

それは違ったのかもしれない。なぜなら

「??
質問の意味が分かりにくかったかな?

んーと、きっかけが知りたいんだよね。

君がこちらへ来る羽目になったきっかけが…。

例えば、君の行動がトリガーになったのかもしれないと思ってね」

彼がいま、私に投げかけている質問こそ。

私が一番聞いて欲しくなかった事だったから。


『…私、もう行きます』

私はベットから立ち上がると、自分が着ていたであろうスーツをハンガーから手荒くむしり取り。

足早にドアへと向かった。

「どこに行くっていうの」

初めて応答を拒否した私を、カカシが冷たい目で見つめる。

『…どこだって、いいです』

たしかに、私に行く当てなどあるはずもない。

しかしそれは別に、この世界に限った事ではない。

元いた世界だって、そう変わりはないのだから。


「…また死ぬのか?」

一度はカカシに背を向けていたが、思わず振り返る。

「懸命に“死に場所”を求めているんだろうが、

君を助けた立場の人間から言わせてもらうと…

出来れば死なないで欲しいなぁ」

『————っっ///』

一瞬にして顔に血の気が上がってくるのが分かる。

頭がパニックになって、即座に言葉が返せなくて。

彼の目を真っ直ぐに見れない。

この感情は、そう。
恥ずかしい。だ。

私が、自殺志願者だと。彼に見抜かれていた事実を。

すぐには受け入れたくは無かった。
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