第6章 これからの事と、大人と子供と
気分転換の為に外に出て、八つ当たりで木を張り倒して。
そして
俺が家に戻ったのは、十五分ほど時間が経過してからだろうか。
まだ彼女は入浴中らしい。
「ふん、スッキリしたかよ」
靴を脱ぐ俺に、サスケの言葉が突き刺さる。
「……見てたなら声かけてよ。もー」
「は。そんな雰囲気じゃなかったが?」
どこからどこまで見られていたのか。
まぁおそらくは俺が木を殴り倒すところはバッチリ目撃されているのだろう。
思いっきり物に八つ当たりするシーンを弟子に目撃されていた気恥ずかしさ。
この気持ちを、言葉に表すのは至極難しい。
「なんだったか…
もう少し大人になれ?だったか。
アンタがいう大人ってのは、八つ当たりで木を木っ端微塵にするのか?」
「木っ端微塵にはしてないよ!」
『なんだか楽しそうですね。何の話ですか?私も混ぜて下さい』
表情がだいぶと明るくなった彼女が無邪気に話に参入してくる。
「あぁ。アンタが風呂入ってる間にカカシが」
「サスケ。先生は、そろそろお前に新しい技を教えようかと考えてたんだけど。なんか急に教える気がしなくなってきたなー。
うん。このままサスケが無駄口を叩くんなら、教えるのやめちゃおう。決めた」
「………汚ねぇ」
サスケが、まるで俺をゴミを見るような目で見上げてくる。
そんな顔をしても無駄だ。彼女に、俺が物に八つ当たりしていたとバラされるより。何千倍もマシだ。
『?私がお風呂はいってる間に、はたけさんがどうしたの?』
エリは勿論俺の気持ちなど知る由もなく、サスケの言葉の続きを催促する。
「…カカシは…、大人の中の大人だ」汚れてる
サスケは、なんとも苦々しい顔で彼女に答える。
汚れてる、か。褒め言葉として受け取っておこう。