第6章 これからの事と、大人と子供と
『私の事、気持ち悪いって言ってくれてよかったのに。
生きる事を諦めた事も…怒ってくれてよかったのに。
それどころか二人は、私がずっとずっと欲しかった言葉をくれた。
実の両親でさえくれなかった言葉を。
本当に…ありがとう』
落ち着いた彼女が、改めて俺たちに気持ちを伝えてくれる。
「礼はもう何度も聞いた。…俺は、エリの口から話を聞けてよかったと思ってる。
だから礼を言うのは、こっちだ。
それに、辛かった過去思い出させて悪かったな。
あと、アンタを気持ち悪いと思う事なんて微塵もない。
そういう事言うのは…やめろ」
「ん、俺もサスケと同じ気持ちだよ。
口にするのも辛い事だろうに。俺達を信じて話してくれてありがとうね」
『……はい』
今の時刻は二十一時。
「九時か…寝るには少し早いかな?
もしまだエリが話し疲れてないなら
少し休憩して、今後について一緒に考えようかと思うけど、どう?」
彼女は、さきほど確かに言ったのだ。
この世界で、生きていきたいと。
今まであえて、未来の事や今後の事については話してこなかった。
しかしエリの中で、少しでもこれからについて明確なビジョンがあるのなら。
出来るだけそれを叶えてあげたかった。
『二人にまだ時間があるのなら、ぜひ』
「大丈夫だよ。じゃぁとりあえず、風呂でも入ってきたら?スッキリするし、気持ちも落ち着くでしょ」
この提案を、彼女は喜んで受け入れて。脱衣所の方へと身を運んだ。
「カカシ?どこ行くんだ」
唐突に玄関へと歩みを進めた俺に、サスケは声をかける。
「…ちょっと。十分程で戻る」
「………」