第5章 ※過去と傷と、白と黒と
しかし、私の監禁生活はあっけなく幕を閉じた。
行為の最中、警察が踏み込んできたのだ。
彼は現行犯で逮捕された。
警察に連れて行かれる間、ずっと私に何かを叫んでいた気がする。
しかし私の耳には何も残らなかった。
その後の事はしばらく記憶がない。
私が自分を取り戻し始めたのは、彼が逮捕されて一ヶ月程が経ってからだった。
地獄は、まだまだ続いていた。
『お父さん、お母さん…たくさん心配かけてごめんね。でももう大丈夫だから』
「…そうか、本当に大変だったな」
『うん…仕事にも、そろそろ復帰しないと…クビになっちゃうからね、さすがに』
「会社になんて行かなくていいじゃない!貴女はたくさん傷付いたのよ?」
『で、でもだからって、ずっとこのままってわけには』
「そんな事ないわよ!
貴女は何も悪くないのよ!!悪いのは全てあの男!!貴女はずっと、ここに。この家にいればいいから。
外になんて一歩も出なくていいからね!」
「母さんと言う通りだ。お前は、出来るだけ家にいなさい」
『……』
私と同時に、お父さんとお母さんも壊れてしまっていたのだろう。
『心配かけて、ごめんなさい』
「君が謝る事は、何もないよ…」
学生の頃から付き合っている彼氏。彼こそ、私の理解者だと思っていた。
しかし
どうやらそれも違ったようだった。