第5章 ※過去と傷と、白と黒と
そして、さらに私の心を抉る事が起きる。
それがこの日だ。
いつものように、彼は私の中に精子を絞り出していた。
「…あぁ…気持ち良かったね、でも今日は少し趣向を凝らした事にチャレンジしてみようと思ってね。
入って」
『!!』
私は彼の合図と同時に、入ってきた男に釘付けになった。
覆面を着けており、顔は分からなかったが。股間には男性のシンボルがあり。しかもそれは既に臨戦態勢だった。
「……」
男は私の上にすぐに飛び乗ると、さきほどまで別の男の物が入っていた膣に、自分の物を突き刺した。
『っっ!!!』
「っ、」
男は一心不乱に腰を振った。呻き声を懸命に押し殺している。
「…ぅ、は、はぁっ、」
ふと隣を見ると、さきほど果てたばかりの彼が自分の物を懸命にしごいていた。
上を見ても、横を見ても地獄だ。
私はぎゅっと目を瞑った。
その瞬間、気付かなくていい事に気付いてしまった。
「っ、…く」
『!!!!』
いま、私の中で暴れている男の正体。
それは…
間違いなく同期の彼だ。
この時ばかりは、自分の人一倍鋭い嗅覚を呪った。
『っ、や…やだ、ぅ、やだよっうああっー』
おそらく私は、ここに監禁されてから一番の拒絶反応をその時に示したと思う。
「!っ、」
声を上げる私の口に、自らの舌をねじ込んで黙らせた。
その時、より濃く香った。
彼の、特別な香水の香りが。