第5章 ※過去と傷と、白と黒と
彼の口から、別れを切り出された時は自分でも驚くくらいショックだった。
『…なん、で、私が…汚れちゃったから?
もう綺麗じゃないから、嫌いになったって事?ねぇ…答えて…』
「ごめん…正直、これからどうやって付き合っていけばいいのか分からない。
でも、お前は可愛いし優しいし。俺なんかよりもっと良い人が見つかるから!」
『答えに…なって、ないよ』
私の心は壊れていった。
もうこれ以上傷付く事に耐えられない。
これ以上傷付くと、もう、私が私でなくなる。
なんとか、自分らしくいたくて。
なんとか自分を保ちたくて取った行動は会社に出勤する事だった。
両親の反対を押し切り、なんとか会社に辿り着いた初日。
「おい、ニュース見たか?
やっぱアイツだよな!!まじビビったわ!アイツあんな事あったのに、よく会社来れるよな。
もしかして、そういうのが好きな奴だったりして。ははは!」
どうして男は笑っているのか理解出来なかった。
貴方はあんなにも懸命に私の上で腰を振って息を荒げて。全部の欲望を私の中にぶちまけたくせに。
しかし、意外と私の心は傷付かなかった。
どうしてだろう。と考えて
答えはすぐに出た。
あぁ、私はもう。
全部を諦めてしまっていたんだと。