第5章 ※過去と傷と、白と黒と
《○○社の会社員、中崎エリさんが消息を絶ってから明日で二週間が経とうとしています。
警察の捜査は虚しく、依然として有力な情報は得られていません。
最後に目撃されたのは会社の近くの通りで、帰宅途中だったと見られております。
当時の服装は……》
自分の事を話しているニュースのはずなのに。
その内容はまるで他人事のようで、まるきり頭に入ってこない。片方の耳から音が入って、もう片方の耳から抜けていくだけ。
私が今、切に願うのはただ一つ。
自分の上に跨る男が、一刻も早く果ててくれる事だけ。
「……っ、は、ぁ、…くぁ…っ、」
『………』
獣のように、ただ腰を振る事だけに集中している生き物のように見えた。
気持ちが悪い。気持ちが悪い。
早く、早く終わって欲しい。
「っ、…も、イクっ!!」
そう言い終わるのとほぼ同時に、私の中に世界で一番汚いのではないか。と感じられるドロドロした物を出し切った。
「っは、…はぁ、はぁっ、あぁ、好き、好きだよ。こんなにも君が好き。
こんなに俺たちセックスの相性も良いんだ。分かってるよね、俺の好きの大きさ…」
完全に頭が狂っている。心底気持ち悪い。吐き気がする。
あぁ、私はどこで間違ったのだろうか。