第34章 ※目撃と選択と、三人と行為と
「…ふっ、あはは」
「っく。はは」
『な、に…』え?
私だけを置き去りにして、カカシとサスケは二人同時に吹き出すようにして笑った。
差し出された手はもう引っ込められてしまっている。
そしてふいに、サスケの口から確信に触れる言葉が紡がれるのだった。
「あのな…アンタ、俺達が気付いてないと思ってたのか?とっくに分かってた。
エリが、“ 三人でいたいから ” 俺達どちらかを選べないでいる事くらいな」
『え……え!?』
自分が怖くて言えなかった内容を、サスケは簡単に言ってのけた。
続いてカカシも言葉を付け足す。
「ま、そもそも俺達やっと告白させてもらえた段階だから、選べも何もないけどね。
それでも、エリが俺達二人共に好意を抱いてくれてるんだろうな。ってのは俺達気付いてたよ?」
『……え、なん、ですかそれ…そんなの、めちゃくちゃ私恥ずかしくないですか!?』
私は自らの頬を両手で押さえる。さぞかし熱くなっているのだろうと予想していたが、その予想以上に私の頬は火照っていた。
「んー、そう?」
「別にそうでもないぞ」
『お、落ち着いて下さい!』
「「俺達は落ち着いてる」」
『で、でも、…二人は、良く思うわけないですよね。
私が…三人でいたいなんてワガママを言ったところで』
私がどっちも選ばないのは、どっちも傷付けたくないから。そんなていの良い言い訳を並べ立て。
本当は、私が…
二人共を好きなだけ。
こんな最低な理由が、まかり通るわけが…
「俺達はね、それでも良いと思ってるよ」
『え』
「お前が三人がいいって言うなら…
当面はそれでいい」
彼らは…何を言ってるの?
「この家に、三人揃って楽しく暮らす。
それが、エリの望みなんでしょ?」
「俺達は、アンタが笑って過ごしてくれるならそれでいいって思ってる」
『……あはは、そんな、そんな事って』
私は、自然と溢れる涙を拭う事もせず泣き笑う。
「ほら、君がそうやって笑うから」
「俺達は、なんだって望みを叶えてやりたいと思うんだ」
カカシとサスケは、それぞれの手で私の左右の目から溢れる涙をすくい取る。
あぁ…なんて、素敵なんだろう。この二人は。
私、まだ一緒にいても良いの?
三人の時間を…選んでも良いのかな。