第33章 帰郷と目論みと、光と闇と
「廊下の角でぶつかるなんて、まるで青春漫画の1ページみたいだね。ね?」
顔を上げると、そこにはミナトが立っていた。
『ミ…、四代目様!どうしてここに…』
思わず、彼の事をミナトと呼びそうになってしまう程には驚いた。
「ん、少し気になって。君がカカシと話を出来たかどうか。
でも…その様子じゃまだ会えてないらしいね」
しょげた様子の私を見て、ミナトは察した。
『…実は…』
私はミナトに、カカシを探し回ったが会えていない事。もしかしたら彼に避けられているかもしれない事を伝える。
「…なるほどね。まぁ、その可能性もあるかなと思って来たわけなんだけど」
『え?』
「おいで。俺が一肌脱いであげよう」
私は、くるりと羽織を翻して歩いていくミナトの後を追った。
背中に描かれた “ 四代目 ” の文字が大きく見えた。
そんな彼に連れられて、私は火影詰所までやって来た。
「いま初音がカカシを探してるからね」
『ミナトさん…本当に、ありがとうございます』
ミナトの気持ちを考えると心が苦しい。
あの夜の事を思い出す。
私が彼に、カカシに私を追う命令を出したか?
と質問をぶつけた日の事。
彼は、一体どういう心情で答えたのだろう。
結果 彼は、自分は命令を出していない。そう答えた。
しかし本当は…?心の奥底では、違う答えを私に言いたかったのではないか?
自分が命令を出した。
そう私にもし嘘をついていたなら…私は多分、カカシと話をしようなどという心情にはなっていなかったはずだ。
きっとミナトは…
色々な、複雑な感情を今も抱えてここにいてくれてるのだろう。
どうして、私に協力しようなどという心境になるのだろうか。
彼の、本心が私には分からない…。