第33章 帰郷と目論みと、光と闇と
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「カカシ先生ですか?俺はまだ見てないですね。
何か急ぎの用事ですか?なら見かけたら、貴女が探していた事伝え…
え?いいんですか?…分かりました。では もし見かけたら、お教えしますね」
「カカシ?いや…見ていない。だが家で、今日は講義があるからと言っていた。この時間なら、まだ校内にいると……
いや…。やっとアンタらしい顔になったと思ってな。桜のまじないも…意外と効くのかもしれないな、と思っただけだ」ふん
「カカシ先生?いや、今どこにいるかまでは分からねぇけど…でもさっきまで俺あの人の講義出てたから。近くにいるのは間違いないと思うぜ。
どうしたんだよ…別にここで話しなくても家に帰れば会えるだろ…。
は?なんだよ…まためんどくせー事になってんのかよ。相変わらずだなぁ、アンタらは…」
イルカ、サスケ、シカマル…。
誰に聞いてもカカシの行方は分からない。
しかし、彼は今日もきちんと自分の講義を行っている。まだ近くにいるはずなのだが。これだけ探し回って会えないとなると…
『…もしかして、避けられてる?』
そうかも。いや、そうとしか思えなくなって来た。なぜなら私は、彼にそれ相応の事をした。暴言を吐いた。
“ 最低 ”
『……うーん、』あれは言い過ぎか…
初めてカカシに、あんな言葉を吐いた。傷付ける為の言葉を吐いた。今から考えれば、さすがに酷かったかもしれない。
いやしかし!カカシもカカシだ。
私に嫌われる為に…
きっと、彼も私を傷付ける事を目的に、あんなキスをした…。
私は、つい思い出してしまった彼との熱すぎる接吻を頭の中から振り払うべく、ぎゅっと目を瞑る。
その時、とん。と誰かにぶつかってしまう。
お互いスピードが出ていなかった為、転ぶ事もなく軽く接触した程度。
『ご、ごめんなさい!私考え事を…して、』て
顔を上げると、そこには見慣れた人物が立っていた。