第33章 帰郷と目論みと、光と闇と
「俺は、素直に自分の思った事は、アンタに伝えようと思っただけだ」
『…え、そ、うなの?』驚いたよ…
「とある、人物から聞いた。
エリは、ミステリアスやクールな男より、分かりやすくストレートな男が好みだとな」
『………』く、
紅せんせぇ!!!
彼女はサスケに何を言ってくれちゃっているの!
あんな酒の席での会話など持ち出して!
「でも…俺もそうだと思う。
どれだけ強い想いを自分の中で持っていたとしても。相手にきちんと伝えないとすれ違う」
『…その通りだよね』
「今の、アンタとカカシみたいに」
サスケは、伏し目がちに言った。
さすがに気付くよね…というのが、正直な気持ち。
私とカカシはこの一週間、会話どころか顔も合わせていないのだった。
どちらからともなく距離を取り続けていた。
「エリらしくないな。
いつものアンタなら、自分の想いをちゃんと言葉にして…相手の気持ちも、強引にでも引き出していただろう」
『…おっしゃる通りです』
相変わらずサスケのストレートな言葉に、思わず少し怯んでしまった。
でも。
『でもね、サスケ君…。
私だって、怖い事があるんだよ。
ハッキリさせたくない事もあるんだよ…。
私にとって、はたけさんとサスケ君は特別。そんな貴方達に。ハッキリと言葉で “ いらない ” を言われてしまったら私…
こ、怖いんだもん、!別に、いいでしょ?
たまには逃げたっていいでしょ…っ?』
あぁ、私いま凄く情けない事言ってる。
こんな気持ちをサスケにぶつけたって、彼の迷惑になるだけなのに。
「別にいい。逃げたって。
ただ、俺がムカついてるのは…
どうして逃げ道に、俺を選ばなかったのかって事だ。
どうして俺じゃなく、他の奴を選んだ?
相変わらず、エリにとって俺はただの年下の頼りない男でしかないのか?」
そうか。私、自分の事で必死になっていて。気が付かなかった。
いつの間にか、サスケを傷付けていたんだ。
『…サスケ君…、私…サスケ君に、甘えてもいいの?頼っても、寄りかかってもいいの?』
「!当たり前だろ」