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モノクローム【NARUTO】

第33章 帰郷と目論みと、光と闇と




私達は適当なところに腰を落ち着けると、早速弁当を広げた。

『取り分けようね。サスケ君お腹空いてる?』

「空いてる」

取り皿に、重箱から少しずつ惣菜を取り分けていく。二人で食べるには少し多いかもしれないが、やはりお花見といえば重箱だろう。という事でおかずを作り過ぎてしまった…。

『どうぞ』

「あぁ…」

サスケは、私の取り分けた惣菜を口へ運ぶ。

「…なんだか、すごく久しぶりな感じだ。エリの飯…」

『…美味しい?』

「あぁ…美味いな」

優しい顔で、私の作った惣菜を見つめるサスケ。なんだかそれだけで。早起きして作った苦労が 簡単に報われた気がする。

『でもさすがに、二人で食べるには多過ぎたかな?
せっかくだから、ナルト君達も誘うべきだった?』

「冗談だろ…俺は、エリと、二人がいいと、思ってる」

『そ、そっか、』照

なんだろう。今日のサスケは少し雰囲気が…


その時、暖かな風が頭上の枝を揺らした。
ヒラヒラと、たくさんこ桜の花びらが私達の頭上に降り注いだ。

私はそれを受け止めようと、手の平を上にして自分の前に差し出してみた。

『…この間まで満開だったのに、どんどん散っていくね。
桜吹雪が…とても綺麗。怖いくらいに』

「前に言っていたな。
これくらいのタイミングの桜が、お前は一番好きだと」

『!』

「何…驚いてるんだ?」

『いや、だって…意外だったから』

私とした他愛のない会話を、彼がいちいち記憶していた事が。

「…お前とした会話くらい覚えてる」

『…そっか。嬉しいなぁ…』

私は目を瞑って、暖かな風を感じる。

『私が一番好きな時期の桜を、こうしてサスケ君と一緒に見られて、嬉しい』

「そ、そうかよ…よかっ…」

『??』

サスケが、不自然なタイミングで言葉を止めた。
そして仕切り直しといわんばかりに言い直した。

「…俺も、お前とこうして花見が出来て…
嬉しい、っと 思う」

『……どうしたのサスケ君!熱!?』顔赤いよ!

「だからっ、お前はいちいち驚き過ぎだ!」

いや、今のはどう考えても驚くところだ。私は間違っていないはず。
少し会わない間に、一体サスケに何が…

少なくとも私の知っている彼は、こんなに急に糖度の高いデレを放り込んでくる青年ではない!

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