第33章 帰郷と目論みと、光と闇と
「あー!つっかれたー!ただいまってばよー」
『あ、おかえりなさい。
わ!ナルト君泥だらけ!ちょっと服玄関で脱いじゃって?家の中が砂まみれになっちゃう』
「あ、ごめんごめん!了解ー
……ってえぇ!?何ナチュラルに家に姉ちゃんがいるの!?」
修行の旅から帰ったナルトが、私の姿を見るなり目を丸くした。
『驚かせてごめんね。私いま色々あって、ここでお世話になってるの』
「そうなのかあ!?いやーびっくりしたってば…。
俺が里を離れてる間に、父ちゃんと結婚したのかと思った」
『あははは』
ナルトは発想が単純で可愛らしい。まぁもう可愛らしいなどと言える図体ではないのだが…
「なになに、今日休み?だったら俺とデートしよー!!」
『ごめんね、今からちょっと出掛けるんだ。
晩御飯何か食べたい物ある?お詫びにリクエスト受け付けるよー』
修行で疲れたと言っていたのに、私を遊びに誘ってくれたナルト。あぁもう本当に可愛い…
「んにゃ、姉ちゃんが作ってくれるもんだったらなんでもいーや!
楽しみにしてるってばよ」
『分かった!ありがとうね。行ってきます』
「おう!いってらっしゃーい」
ナルトに別れを告げ、私は風呂敷包みを持って待ち合わせ場所に向かう。
時間までにはまだ少しある。よっほどの事がない限り遅刻はないだろう。
歩いてしばらくすると、アカデミーで花見をした場所が見えてきた。
まだあれから一週間くらいしか経っていないのに、もう随分時間が経過した気がする。
複雑な気持ちでその場所を見つめていると、彼が立っているのを見つける。
「早かったな」
向こうも私に気付いて、こちらへ近付いてくる。
『そうかな。ごめん、お待たせ。サスケ君』
サスケは私から風呂敷を受け取り、二人で桜並木を歩く。
今日は、かねてからの約束だった花見をする為ここに集まったのだ。
集まる、と言ってもメンバーは私達二人だけなのだが。
『サスケ君とこうして待ち合わせするの、なんか新鮮。前までは同じ家に住んでたから…
待ち合わせする事自体なかったもんね』
「そうだな。こういうのも 意外と悪くないもん、だな」
サスケが共感してくれるとは思わなかったので、少し驚いた。