第32章 花の後と、墓参りとモノクロームと
「片付け中悪いな…ちょっと耳だけ貸してくれるか」
『アスマ先生、ガイ先生。お疲れ様です。勿論構いませんよ。どうかしましたか?』
私の前に、さきほどまであちらで片付けに勤しんでいた二人がやって来た。
二人がこっちに移動して来た事で、イルカは他の場所に助っ人に行く事になった。ここは三人で十分だと判断したのだろう。
「……我がライバルは、とにかく強いんだ」
『??…はぁ』
唐突にガイがカカシの自慢?を始めた。
「普段は少しぼーっとした所はあるが…しかし戦いになれば一転!写輪眼を携えた奴は並の忍じゃ歯が立たーん!」
「お、いい感じ…」意外にも
ガイの話の着地点が全く見出せないし。アスマの相槌も全く腑に落ちない。ここはとりあえず話を合わせてみる。
『そ、そうですね。はたけさんは凄くお強いですよね』
「その通り!俺とほぼ互角だからな!まぁほんのすこーしだけ俺の方が強いのは仕方ない!やはり毎日の鍛錬が物を言うからな!」
ガイは本当に特訓が好きなのだなぁと思う。
『さっきの隠し芸も凄かったですよね!あんな事が出来る人間がいる事に驚きです』
「そ、そうか?!そうかぁ!でもな、君も努力次第であれくらいなら出来るようになるぞ!」
『えぇ!?私にも出来ますかね!?』
私は、自分が片手で逆立ちして長距離を移動する想像をしてみた。
な、なんという非現実な光景だ…
「なんなら俺が教えてやってもいい!」
『本当ですか!?それはぜひ』
「おーい!何の話だよ!」
アスマのツッコミによって、私とガイは互いに顔を見合わせる。
『……何の話でしたっけ?』
「う、うむ…なんだったか…」
「もういい。お前はもういい」馬鹿だから
ガイを押し退けて、今度はアスマが私の前へと歩み出る。
「んんっ。あー、カカシはなぁ…」
咳払いを一つしたあと、アスマは口を開いた。
「……ほら、あれだ。めちゃくちゃ金持ってるぞ」
『あれ?なんだかそれ、私前にも誰かに聞いた気がします…』デジャブ…
「お、おいアスマ」
「な、なんだよ」
二人は、私に背を向けて何やらボソボソと話を始める。
「この子が金に目が眩んでカカシになびくとは、俺は思えんぞ…」ひそ
「お、俺だってそう思ったが…じゃあ他に何が…」ひそ