第3章 猫と秋刀魚と、涙と笑顔と
おまたせ。と、改めて二人が私と顔を突き合わせる。
なんだ。なんなんだ。二人のこの不可解な行動がまったくもって理解出来ない。
それはそうだろう。誰が分かるものか。
まさか私の笑顔が見たいが為に、こうして彼らは自分の知る限りの“滑らない話”を披露してくれているなんて。
「サスケはね」
今度はカカシのターンらしい。私は大人しく彼の話に耳を傾ける。
「凄くあれだ。モテるんだよね。顔がいいから。
まぁでも、彼女なんか作る暇もなく忙しく修行に明け暮れてる。
俺は心配してたんだよ。勉強や修行も大事だけど恋だって大切な青春だからね!
そんなサスケにもやっと春がやってきてね。
…ファーストキスの機会が、巡ってきたわけだよ」
「おい馬鹿カシ!やめろ!」その話は!
『おぉ!』
思いもよらぬ熱い展開!サスケもこう見えてそんな素敵なお相手が!
「そのお相手って言うのが、同じクラスのライバルの“男の子”でね。いやー、こんなにおめでたい事はないよ」
「あれは完全な事故だ!」思い出させるな!
『…うーん、まぁ、なんというか…
ご愁傷様でした』
それよりもお腹が空いてきた。
早く秋刀魚を焼いて食べたいなぁ。
「おいカカシ、お前こそわけの分からない話を長々しやがって!ふざけるなよ」
「えー、先生頑張ったでしょ?」
「だいたい今の話で誰が笑うんだ。俺の事を馬鹿にしたかっただけだろ!」
「そんな事は、少しあるけど…。でもサスケだってさっきの話、ただの俺の悪口だからね?」
「いやただの事実だろ」
「大体サスケには笑いのセンスってのがないんだよ」
「おい…それをお前が言うのか」