第3章 猫と秋刀魚と、涙と笑顔と
「どこ行ってたの!!」
サスケに連れられ、家に帰るなり。飛び出してきたのは心底慌てた様子のカカシだった。
『…心配かけて、ごめんなさい。
少し迷子になってしまって』
「…無事なの?怪我は?」
『ない、です』
じっと私を見つめるカカシ。その瞳は何かを見つけたようで。
「?目、赤い…泣いた?」
ふいに顔に近付いてくる手。私はギュッと目を瞑る。
「…いや、無事なら、もういいよ」
結局彼の手は、私に一切触れる事のないまま下に降ろされた。
『あの、はたけさん。サスケ君。私二人に謝らなくちゃいけない事が…」
「「?」」
三人でテーブルを囲う。私の前には、神妙な面持ちの二人が座っている。
『さ、秋刀魚が一匹、猫に攫われました。これは私の責任です…留守を預かる身としてあるまじき失態…。
もうこうなったら死んでお詫びを』
「ばっ、馬鹿か!!」
「君ね!洒落になってないの分かって言ってるのかなそれ!」
…あまりにブラックジョーク過ぎたらしい。
「ま、まぁ、そんな事より俺達も君に話したい事がある」
「…あ、あぁ」
『?』
今度は二人が妙にかしこまる。
「…じゃぁ、ま!サスケから」
「分かった」
私はサスケの方に向き直る。一体このタイミングで、彼は何を話すというのか。全く想像がつかない。
「…カカシは…上忍という最高ランクの忍に位置する。そして写輪眼を使って様々な特殊能力を使う。だが…
力の制御が出来ず、頻繁にオーバーワークに陥り。写輪眼を使う戦いの後は、高確率で病院に運ばれる。
…めちゃくちゃダサくないか?どうだ?笑えるだろう」ふ
気まずい沈黙が訪れる。
『……へぇ?』何の話…?
「…サスケ君ちょっと」
カカシがサスケの首根っこを掴み距離を詰める。
そして何やら二人だけで作戦会議を始める。
「ねぇ、今の話どういう事?今の話でエリが笑うと思ったの?
君はあれだねぇ。馬鹿だねぇ」ふ。じゃないから
「俺が知ってる話で一番の滑稽話だが?」
「こっ…、はぁ。もういいよ。選手交代。次は俺が可笑しい話をして彼女の笑顔を引き出してみせる」