第3章 猫と秋刀魚と、涙と笑顔と
『ふふ、』
「「え」」
『あはは、なんとなく分かりましたよ。二人の考えが』
優しい二人の事だ。きっと、私を慰めようとしてくれたのだろう。
『秋刀魚を猫に泥棒されて、落ち込む私を元気付ける為に。面白い話をして、笑わせようとしてくれていたんですよね』
「…また、秋刀魚か…」
「なんか微妙におしい…」
『あれ?違いましたか?』
割と良いカンが働いたと思ったのだが。私の予想は外れてしまったのだろうか?
「うーん、ま!違わない事もないかな。こうして俺の目的は貫徹されたわけだし」
「…そうだな。悪くない」ふ
普段多く笑わないサスケの、珍しい笑顔。机に頬杖をつき、満足げに微笑むカカシ。
そんな二人の表情を見てるだけで、心が温かくなる。
こんな心地は…いつぶりだろう。
『あ、そういえば、さっきから気になっていたんですけど…これはなんですか?』
“これ”とは、先程から机の真ん中に鎮座する、小包。
「あ、これね。俺も中身はまだ見てないんだけど。今日、八百屋の親父にもらったんだよね」君にって
「……」
アンタのだ。と言わんばかりの表情で、サスケは私に小包を押しやった。
八百屋の主人から私へプレゼント?
不思議には思ったが、拒否する理由もないので私はそれを開封する。
『!!これ』
なんとその中身は。
『見て!!見て下さいほら!すごい!なんで!?秋刀魚だぁ!』キラキラ
「「……」」
『しかも四匹も!!最初の二匹と合わせると一人二匹も食べられますよ!こんな事ってあるんですね!驚きです!』キラキラ
「…なに結局…」
「秋刀魚には、勝てないのか。俺たちは」
今の私の表情は、多分これまでにないくらい晴れ渡った空のような、さぞキラッキラで爽快な笑顔を浮かべている事だろう。