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モノクローム【NARUTO】

第28章 真実と兄弟と、増悪と愛情と




セツナ。

どうか生きてくれ。

お前は、死なないでくれ。


シュンの願い通り、お前が生きてくれるならば

いつか俺を殺しに来たっていい。


そうしたらその時は、本気で刃を交えよう。

最愛の人の仇を討つ為に、強くなれ。セツナ。


こんな事しか出来なくて、本当にすまない。

大好きな兄貴を、シュンを守ってやれなかった俺を許してくれとは 言わない。

でも、頼む。なんでもいいから生き抜いくれ。お前だけでも。



それから俺は、シュンのもう一つの願いでもあった火影に就任した。

常日頃からシュンは言っていた。
俺は火影になるべき人間だと。

それは俺も昔からの目標だったが、シュンに背中を押される度に力をもらっていた。

シュン、セツナ、俺は…お前達の為にもこの里を良くしてみせる。

笑いたくない時も、俺だけは笑って、常に強く。弱き者を導ける強い火影になる。



「お疲れ様です。先生」

俺は就任式を終え、やっと専用の羽織と帽子を脱いだ。そこにカカシがやって来たのだ。

「…お疲れ様。みんな笑ってくれてたね。よかったよ…」

「セツナが、里を出たようです」

「…そうか」

俺は、カカシの報告にはあまり驚かなかった。

いつかはそうなると思っていたから。それに、こうなってしまった方が彼が生きてくれる可能性は高い気さえしていた。

この里を出て、厳しい環境の中に身を置いて。研鑽を積んで。いつか俺の前に現れるのだろう。
兄貴の仇を討つ為に。


「強い忍に、なるだろうな。セツナは」

「ええ。シュンの、弟ですからね」

そこで、俺はカカシに初めて謝罪した。

「カカシ、お前まで恨まれる事になってしまって ごめん。
こんな役回りは…俺一人でよかったのに」

「…先生の為じゃありませんよ。

俺も…セツナには強い忍になって欲しいだけですんで」

俺とカカシは、すっかり暗くなってしまった夜空を窓から見上げて。

二人の男に想いを馳せた。

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