第28章 真実と兄弟と、増悪と愛情と
「……は?今…何て言った?」
「シュンは俺が殺した」
シュンの墓を、カカシと俺の二人で作った後に。セツナを呼び出して。そう淡々と伝えた。
「…任務遂行の為には、シュンには死んでもらわなければならなくなった。
だから殺した。ただそれだけの事だ」
ただただ冷酷に。ただただ事務的に。
「………」
怒りを剥き出しにして、俺に飛び掛かってくるセツナ。カカシによって地面に押さえ込まれている彼を見下げた。
「なん、だよ…なんだよそれ!!
任務を遂行する為に、俺の兄貴を犠牲にしたってのか!?
殺した…って、そんな、簡単に言いやがって…!
兄貴は…シュンはな!お前等の事が大好きだったんだぞ!そんな、そんな大好きな友に…殺されたなんて…
どんな…気持ちだったか…俺には、予想も、つかね…」
地面に突っ伏し、涙を流すセツナを見て。少しだけ心が揺らいだ。
俺は、これで良かったのか。もしかすると間違ってしまったのではないかと。
しかし、
「セツナ」
カカシの声にハっとした。
「今回の事は、先生だけの判断じゃない。俺も同じ場にいて、手を貸した。
シュンに手を下したのは…俺達二人だ」
カカシはセツナに言った。しかし、俺にはこう聞こえた。
“ 貴方は間違っていない。大丈夫。俺も、一緒に背負いますよ ” と。
俺達は、彼に生きる希望は与えなかった。しかし代わりに与えた物がある。それは、
怒り、憎しみ。憎悪。怨み、遺恨、殺意。
その全てを。