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モノクローム【NARUTO】

第28章 真実と兄弟と、増悪と愛情と




時任一族の血界限界は、他の追随を許さないほど強力な物だ。

時を操り、敵を葬る。それだけ聞けば、最強だと感じる。しかし、それには強いリミテーションがある。

広くは知られていないが、時を止めるのと同時に自分の心の臓の動きも止めてしまうというものだ。

つまり、強い力の見返りに。自分の寿命を差し出しているに他ならない。

しかし彼は、その事実を知っていながらその能力を使い続けた。
俺やカカシを助ける為。愛する弟が幸せに暮らせる里を守る為に…。


「…ごめん、そんな顔をさせるつもりじゃなかったんだけど。

でも本当に…結構、もう限界が来てるんだよ。
さっきも…術者が逃げる前に能力を発動させようとしたのに、心臓が痛すぎて上手く出来なかったんだ。

あの時、死んででも仕留められてたら格好もついたのに。あはは」

彼の笑う顔を、見ていられなかった。


火影なら、こういう時どう決断するのが正しいのだろう。

きっと、どんな犠牲を払っても戦争に勝つ。寿命が残り少ない仲間には、御国の為にと死を言い渡すのが、正解なのだろう。

「…シュン」

俺が黙って考えを巡らせる中、カカシが彼の名を呼んだ。カカシも、どう声をかけるのか考えあぐねているようだった。

「ここに君達が、長く足止めされる事は。戦況を確実に悪くする。

こうしている間にも、里に敵襲があってセツナや里の皆んなが危険に晒されるかもしれない。

それでも…この手を離してはくれないかな?ミナト」

「……ん。嫌だ」

俺は、どうやら火影には向いていないようだ。

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