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モノクローム【NARUTO】

第27章 到着と生贄と、執念と偽善と




「「!!」」

セツナとカカシが、同時に反応した。

勿論私には何も感じないのだが、二人がそれぞれこう呟いた。

「来た…っ!来やがった!」
「…先生、どうして」

腹の底から喜びが湧き上がり、笑いを堪え切れない様子のセツナ。

戸惑いと、疑念。理解が出来ないといった様子のカカシ。

二人の様子を見て私は悟る。

『…まさか』

まさかとは思うが “ 彼 ” が来てしまったのか?
私がそう思い至った瞬間に、セツナは私から一気に距離を取り。部屋の中央に移動を始めた。

その行動を不可解に思ったのは私だけではなく、カカシも同じだったようだ。しかし彼はすぐさま一人になった私の元へ駆け寄った。

「大丈夫?じゃ、ないか。少しじっとして」

近くで見るカカシは、やはりボロボロだった。ここまで傷んだ彼を見た事がない。私は目から涙が溢れ落ちるのを必死で我慢して頷いた。

ガキン。という音と共に久しぶりに両の手が自由になった。

『はたけさん…、私、ごめんなさ…』

「エリは何も悪くないよ。
とにかく急ごう。どうしてだか分からないけど先生が来た。動くなら今しかない」

カカシは私を手早く抱き上げると、すぐに移動を開始しようとする。私は彼の首に両手を回して体を預ける。

やはり、ミナトが来たのだ。まさか、本当に彼までがここに来るとは思わなかった。
まだ半信半疑だが、二人が揃って気配を感じ取ったのだ。まちがいはないだろう。

私はカカシに掴まりながらも、セツナの姿を目で追い続ける。

彼は、部屋の中央に屈み込んでいた。そして、自らの血を両手に取ってから、地面に突立てた。

そして、こう呟いた。

「…贄牢閣の術」

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