第27章 到着と生贄と、執念と偽善と
セツナは、時を自在に操っていた。そしてカカシを翻弄する。
戦っているカカシからすれば、突然あらぬ方向から敵が出現し、あらぬ方向から攻撃が加えられるのだ。
なんとか対処できているのが奇跡と言える。やはり写輪眼との相性だろうか。
セツナの動きをギリギリで先読みし、攻撃が加えられてから初めて、その方向へ自分から跳躍する事で ダメージを殺していた。
「っく、」
それでもやはり、カカシの分が悪そうだった。
ここに来るまでにチャクラを消耗していた事も大きな原因となっているのだろう。
「アイツを助けてーんだろ!もっと張り合ってみせろや!!」
ガンガンと攻めるセツナ。
こんな相手に、カカシはどう戦えば良いのか。私には想像もつかない。
華麗なバックステップで猛攻を避ける。
「逃げてばっかでいいのかよ!」
すぐさまセツナがカカシを追い掛ける。
その時。
「っ!!!」
爆発音とともにセツナの顔が苦悶に歪んだ。
何が起こったのか、全く分からなかった。
セツナの足元が急に爆発し、彼の足を直撃したのだ。
「っチ…!起爆札か、いつの間に…!」
「…アゲハとの戦闘の後だよ」
私はカカシの言葉を受けて、思い起こす。たしかアゲハとの戦いの後、彼は使った苦無を地面に投げ捨てていた。
あれに、起爆札が仕込まれていたのか。
カカシは、一体いつからこうなる事を予想し準備していたのだろう。
セツナの能力に感づいていたからこそ、取れる策だったのだろう。
そしてセツナを上手い具合に、苦無を仕込んだ場所に誘導したのだ。逃げるふりをして。
「俺の目的は…お前を倒す事じゃない。
エリを連れてここを出る事が出来れば、それでいいからね」
確かにもうあの足では、私を連れているとは言え全力で逃げるカカシに追いつく事は困難を極めるだろう。