第27章 到着と生贄と、執念と偽善と
「アゲハ、お前は客を迎え撃て」
「はい」
彼女は指示を受けると、待ってましたと言わんばかりに扉の前へ移動してカカシを待ち受ける。
そしてシュンは、玉座から立ち上がってずんずんとこちらへ近付いてくる。
『お願い。はたけさんには、何もしないで』
「…この期に及んで、他人の心配か」
私の目の前に立った彼は、不必要な程私との距離を詰めた。
『…?、な、なに』
「その余裕、どこまで続くか見ものだな」
彼は、乱暴に私の髪を掴み。頭を左の方向へと傾けさせた。
そして、ガラ空きになった私の右側の首横に突然歯を立てる。
『っっ?!///』
「……」
突き立てられた犬歯によって、痛みが首筋に走った。しかし彼の唇から発された吐息が、皮膚の薄い部分をくすぐった。
『な、なにしてっ』
「ちょっと黙ってろ」
私の首横に顔を埋めたままの彼は、今度はそこを遠慮なしに吸い上げる。
強い力で吸い上げて。少し位置を変えては、また吸う。これを何度も繰り返した。
『っ、は///ぁ、いや、嫌っ、』
長身の彼が、背中を丸めて屈み。私の首を吸い続ける。
自分で確認する事は出来ないが、私の首辺りには無数の赤い跡が散らばっているだろう。
反対の首も、同じように彼の唇が這わされる。
首だけでは飽き足らず、鎖骨あたりにまで その行為は及んだ。
『ぅ、っく!や、…やだ、なんでっ』
「………」
どうして彼が急に、このような行為に出たのか分からない。与えられ続けている強い刺激も手伝って、私の頭の中は混乱する。
「言ったろ。確かめるって」
『…え、?』
「カカシにとって、アンタがどれくらい特別な存在なのか…
俺自身の目で確認してやる。
どんな顔しやがるか…。俺に襲われてるアンタを直接目撃したら」
するりと、私の服の裾からシュンの手が侵入してきた。
『っっ、いや、いやっ やめて!シュン!!』
「……来る」
アゲハの小さな呟きなど、もはや私達には聞こえてこなかった。