第25章 切迫と報復と、開戦と危機と
アゲハが、淡々とサスケに向かって忍具を投げつけるまで。
彼女が本当に向こう側の人間なのだと、理解が追いつかなかった。
そんな不甲斐ない私と違い。サスケはきっちりと攻撃に対処していた。
「…本当に、落ちたな。お前」
「そう思うのは、アンタの勝手だ」
命のやり取りをしながら、会話をする二人。私はそれを見守る事しか出来なかった。
このままでは、サスケか黒蝶。どちらかが大怪我をする。
いや、怪我で済めば良いが…もしかすると。
最悪の結末が、私の頭を掠める。
その瞬間。私はシュンに詰め寄っていた。
『サスケ君を殺す事が、あなた達の目的じゃないんでしょ!?
私を襲ったって事は、用があるのは私。違う?』
「……」
長身の彼は、私を冷ややかに見下ろしていた。
何も答えないという事は肯定の意だろうか。
『さっきから言ってるでしょ、私ならどこにでも一緒に行くから!お願い二人を止め』
最後まで言葉を言い切る前に、私の顔の横 スレスレの位置を苦無が猛スピードで一閃した。
「無礼な女!時任様にそれ以上意見をするな!」
サキが投げた苦無は、私の髪を数本地に落とし地面に刺さった。
「…サスケを倒した後、お前を連れ帰るまでだ。
お前の要求を聞き届けてやる義理はない」
コウも私に冷たく言い放つ。
反してシュンは何も言葉を発しない。
『……』
私は、地面に刺さった苦無を素早く拾い上げる。
「「!!」」
『今すぐに二人の戦いを止めなさい。じゃないと私は、
ここで死んでやる』
私は自分の喉元に冷たい鉄の感触を押し当てる。
「…ハッタリだ!」
サキが再び叫ぶ。
「いや…」
シュンが、冷ややかに笑う。
「本当にやるぞ。そういう奴だ。
…コイツもな」